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診断から治療まで乳癌患者を全面的に診療できる乳腺専門医

乳腺専門医養成WGリーダー
重松 英朗

求められる乳腺専門医像

乳腺専門医は乳癌の診断、手術療法、薬物療法、放射線療法、緩和医療の全ての分野に関わっており、乳癌患者さんを総合的に診療することが求められます。乳癌治療の進歩は目覚ましく、英国データベースの解析において、最近の20年で早期乳癌の死亡リスクが1/3に減少したことが報告されています。その主な要因として、乳癌サブタイプ分類に基づく乳癌薬物療法の進歩が挙げられます。乳腺専門医は日々更新される標準的薬物療法を熟知し、乳癌患者さんに実践することが求められます。乳癌の手術は女性のシンボルである乳房にメスを入れるため、乳腺専門医は根治性と整容性を両立するオンコプラスティックサージャリーの概念をもつ必要があります。BRCA1/2検査および変異陽性に対するリスク低減処置が保険適応となり、遺伝性乳癌卵巣癌症候群が日常臨床に深く関わるようになりました。以上のように、乳癌診療に求められる知識と技量は多くなっており、乳腺専門医の育成は重要な課題と考えます。

今後の乳癌診療を牽引する乳腺専門医を育成していく

数多くの乳癌に関わる臨床試験の実践により、乳癌に対する標準治療は進歩してきました。乳腺専門医は目の前の乳癌診療に専念するだけでなく、乳癌診療の進歩のために臨床試験に貢献することが求められます。当院乳腺外科は複数の治験や国内の主要な臨床研究グループの臨床試験に参加しており、これらの臨床研究を通して最先端の医学研究に関わっています。また、自ら新たな臨床試験を立案し臨床研究グループに立案することも可能です。当科のこれらの医学研究に関わることにより、次世代の乳癌診療を牽引する乳腺専門医が育つことを期待しています。

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