小児がん専門医養成WGリーダー
岡田　賢

小児がんは小児が病気で亡くなる原因の第1位であり、年間発生件数は全国で2,000～2,500人と推定されています。白血病などの造血器腫瘍のほか脳腫瘍、神経芽腫などの固形腫瘍があり、診断・リスクなどに応じて化学療法、手術療法、放射線療法などを組み合わせた集学的治療が行われます。

本院は「小児がん拠点病院」であり、すべての小児がんの診療に対応しています。また、血液疾患や原発性免疫不全症の根本治療である造血細胞移植についても豊富な経験を有しています。再発・難治小児がんに対しては、適切な医療の提供のみならず、療養・教育環境を整備することで、質の高い相談支援、緩和ケア、長期フォローアップを実現しています。さらに、中国・四国9県の小児がん診療病院間でネットワークを形成し、地域全体で連携して小児がん患者を支える体制の構築に尽力しています。これらの施設との間では毎月web会議を開催しており、医師・看護師・相談員が中心となり、症例検討や相談支援・情報共有を通じて連携を強化しています。
また、本院は「がんゲノム医療拠点病院」でもあり、小児がんに対して「がん遺伝子パネル検査」が実施可能です。遺伝性が疑われる症例に対しては、臨床遺伝専門医と認定遺伝カウンセラーによる遺伝カウンセリングも行っています。
小児がんの診療には成人とは異なる支援も必要となります。医師、看護師、薬剤師、理学療法士、作業療法士、管理栄養士、公認心理師、チャイルド・ライフ・スペシャリスト、院内保育士、社会福祉士、がん相談員などの専門職が多職種連携チームを形成して、小児がんの子ども・家族に最適な医療を実践しています。

本院には白血病など造血器腫瘍や脳腫瘍などの固形腫瘍に対してトータルケアの豊富な実績があります。小児がん専門医養成コースでは、小児がんの子どもに質の高い専門医療を提供するために、小児がん領域に関する幅広い知識と十分な経験および錬磨された技能を習得した医師を育成します。